寒い季節になると、甘くてねっとりした干し芋が恋しくなります。
最近ではおやつとしても人気があり、スーパーや道の駅でもよく見かけます。
でも、こんな疑問を持ったことはありませんか?
「干し芋って、どれくらい保存できるんだろう?」
ここでは、干し芋の保存期間について、市販のものと手作りのものをくらべながら、どんな点に注意すれば長く保存できるのかを見ていきます。

ハアト
干し芋って、どれくらい保存できるの?
市販の干し芋と手作りの違い
まずは、保存期間の目安をくらべてみましょう。
種類 | 保存期間の目安 | 保存方法 |
---|---|---|
市販(未開封・真空パック) | 約3〜6か月 | 常温〜冷蔵 |
市販(開封後) | 約1週間 | 冷蔵(乾燥・密閉) |
手作り(天日干し・適切に乾燥) | 約1か月〜3か月 | 冷蔵・乾燥剤入り保存容器 |
手作り(柔らかく乾燥不足) | 数日〜1週間 | 要冷蔵・早めに消費 |
市販品は、袋詰めの仕方や乾燥状態が安定しているため、比較的長持ちします。
一方、家庭で手作りする場合は、乾き具合や保存のしかたによって大きく差が出ます。
保存を左右するポイント
干し芋の保存期間は、以下の3つの要素で大きく変わります。
要素 | 説明 |
---|---|
水分量 | 水分が多いとカビが生えやすく、腐敗の原因になります |
空気 | 空気にふれると酸化し、風味が落ちたりカビが発生します |
温度 | 暖かく湿った場所では、腐りやすくなります |
つまり、干し芋を長持ちさせるには、よく乾かすこと、空気を遮断すること、冷暗所で保管することが大切です。
保存のコツ
より長くおいしく食べるためには、次のような工夫がおすすめです。
- 表面が乾いてから袋に入れる(湿っているとカビやすい)
- 脱酸素剤や乾燥剤を使う(カビや虫対策になる)
- 冷蔵庫や冷凍庫に入れる(冬でも室温管理には注意)
特に冷凍保存はおすすめで、数か月以上保存することもできます。
冷凍した干し芋は、自然解凍すればそのままでも食べられますし、焼くと甘さがぐっと増して美味しくなります。
このように、干し芋はきちんと手入れすれば、けっこう長く保存できる食品です。
昔の人たちは、冷蔵庫もないなかで、こうした「干す」技術を使って食べ物を大切にしてきました。
次の章では、その昔の知恵、特に縄文時代の保存の工夫について見ていきます。
火や水や風を上手に使いながら、自然と共に生きていた人々の知恵にふれてみましょう。

ハアト
おいしいものが ながくたのしめるって、なんだか しあわせなキモチになるノネ!
つくったひとの やさしさも、いっしょに とっておきたいの。
縄文人にも通じる保存の知恵
干し芋のように、食べものを「干して長持ちさせる」方法は、実はとても古くから使われてきた知恵です。
冷蔵庫や真空パックなんてなかった時代、人々は自然の力を上手に使いながら、食料を保存していました。
とくに、1万年以上も前の縄文時代の人たちが、どのように食べものを残していたのかを見てみると、今にも通じるヒントがたくさんあることに気づきます。
火と土器で食べものを守る
縄文時代にはすでに「土器」がありました。これは世界でも早い時期のことです。
土器があったおかげで、煮る・温める・蒸すなど、いろいろな調理ができるようになりました。
さらに、火を使うことで食べものを乾燥させたり、煮ることで腐りにくくしたりと、保存にもつながる使い方ができました。
食べものを「干す」という知恵
今と同じように、縄文人も「干す」という方法を使っていたと考えられています。
たとえば:
食材 | 知られている保存法 |
---|---|
ドングリ | アクを抜いてから乾燥させて粉状にする |
クリ | 生のまま保存、または焼いて乾燥させる |
魚や貝 | 燻製・干物として加工(貝塚の痕跡から推定) |
野草・山菜 | 水分をとばして保存しやすく |
ドングリはそのままだと苦くて食べられませんが、水にさらしてアクを抜き、粉にして乾かすことで、団子やおかゆのようにして食べることができました。
つまり、「干して保存する」という方法は、干し芋だけでなく、縄文時代にもすでに活用されていた技術だったのです。
風と水を味方につける
干すためには、風通しのよい場所が必要です。湿気の少ない季節や、日当たりのよい場所は、食材を守る大きな味方になります。
また、保存の前に水を使ってアクを抜くという工程も、縄文人が自然を理解しながら工夫していたことのひとつです。
風で乾かす。
水で洗う。
火で煮る。
これらはすべて、道具よりも先に「自然の力」をどう使うかを考えた結果だったのかもしれません。
次の章では、こうした昔の工夫を、今の暮らしにどう取り入れられるのかを考えてみましょう。
現代に生きる私たちも、電気や機械に頼りきらない、ちょっとした工夫をすることで、暮らしの中に縄文の知恵を取り戻すことができるかもしれません。

ハアト
むかしのひとたちはね、
ぜんぶ もらいっぱなしじゃなくて、「どうやって たいせつにするか」を かんがえてたノネ。
そのキモチ、いまも ずっと あたたかいの。
いまに活かせる、古いけれど新しい工夫
縄文時代の人たちは、自然の力をうまく使って食べものを保存していました。
その知恵は、今の暮らしの中にも取り入れることができます。
電気や冷蔵庫に頼るのではなく、「干す」「冷暗所に置く」「余ったら加工する」といったシンプルな方法です。
こうしたやり方は、エネルギーを使わないぶん環境にもやさしく、しかも楽しく続けられるのが大きな魅力です。
冷蔵庫なしでもできる保存法
冷蔵庫がない時代、人々はどんな工夫をしていたのでしょうか?
今でも使えるアイデアを表にまとめてみました。
方法 | 内容 | 現代での応用例 |
---|---|---|
風通しで乾かす | 食材の水分をとばす | 干し芋、干し大根、干しシイタケなど |
地中に埋める | 温度が安定し冷暗所として機能 | 芋類や根菜の保存、ぬか床の管理 |
塩でしめる | 微生物の働きをおさえる | たくあん、梅干し、魚の塩漬け |
煮てから保存 | 火を通して腐敗しにくくする | 味噌・煮豆・佃煮など |
これらはすべて、電気を使わずにできる方法です。
とくに干すことは、子どもと一緒に体験しやすく、食べものの変化を観察できる楽しい作業でもあります。
「余ったら捨てる」から「工夫して残す」へ
現代では、食べきれなかったものをすぐに捨ててしまうことも多いですが、昔は「もったいない」という気持ちから、どうにかして残す工夫がされてきました。
干し芋も、そうした工夫のひとつ。
たくさん採れたサツマイモを無駄にせず、おやつや保存食として活用する知恵です。
これを応用すれば、こんなこともできます。
材料 | 加工法 | 保存食の例 |
---|---|---|
トマト | 天日干し | ドライトマト |
ナス | 炒めて瓶詰め | ナスのオイル漬け |
ニンジン | 細切りにして干す | 干し野菜ミックス |
大根 | 煮て冷凍 or 干す | 切干大根、冷凍煮物 |
干すことで味がしみやすくなったり、うまみが凝縮されたりするのも、保存食のうれしい特徴です。
干し芋は「入り口」になる
いきなりすべての食材を手作り保存するのは大変ですが、干し芋のように気軽に試せるものから始めてみると、自然と暮らしにリズムが生まれてきます。
・太陽のある日を待つ
・数日かけて様子を見る
・ゆっくりと甘くなっていく変化を楽しむ
そういった小さな体験の中に、縄文時代の人たちが感じていた「自然と暮らす感覚」が、今にもつながっているのかもしれません。
次の章では、このコラムのまとめとして、干し芋を通して見えてきた自然とのつながりや、暮らしの中に取り入れたい考え方をお話しします。
ちょっと昔の知恵が、これからの未来のヒントになるかもしれません。

ハアト
よぶんなぶんは、すてちゃうんじゃなくて、「どうやったら つづけてたのしめるかな」って おもえたら、
くらしが ちょっとだけ やさしくなるノネ。
まとめ|干し芋から見えてくる「自然と共に暮らす知恵」
干し芋は、ただのおやつではありません。
それは、自然の力を使って食べものを長く持たせるという、昔の人たちが積み重ねてきた知恵のかたまりです。
水分をとばすことで腐りにくくし、保存性を高める。
それは、冷蔵庫もラップもなかった時代において、食料を大切にするためのとても大切な工夫でした。
自然からもらった力を、無駄にしない
縄文時代の人たちは、自然の中にあるもので暮らしていました。
だからこそ、木の実や魚を取ったあと、それをどう使い切るか、どう保存するかに知恵をしぼっていたのです。
干し芋も同じです。
とれたサツマイモをそのまま放っておくのではなく、蒸して、切って、干して、ゆっくり甘さを引き出しながら保存する。
そうすることで、時間がたってもおいしく食べられる。
それは「自然に感謝して、うまくつきあう」という生き方そのものです。
暮らしの中に、少しだけ取り入れてみる
今の暮らしでは、スーパーで何でも手に入り、ボタンひとつで冷蔵も冷凍もできます。
でも、それだけに頼るのではなく、ほんの少しでも「自分で作ってみる」ことから始めてみると、見える景色が変わってきます。
・余った野菜を干してみる
・季節の食材で保存食を作ってみる
・自然のリズムに合わせて食べものを扱ってみる
こうしたことをひとつでもやってみるだけで、食べることのありがたさや、自然とのつながりを肌で感じられるようになります。
干し芋は、昔と今をつなぐやさしい橋
干し芋という、どこか懐かしくてほっとする食べもの。
そこには、何千年も前の人たちが使っていた知恵と、現代の私たちの暮らしが、やさしくつながっているように思えます。
すべてを昔のように戻す必要はありません。
でも、昔の知恵に学びながら、今の暮らしに合わせて取り入れていくことで、より豊かでたのしい暮らし方ができるかもしれません。

ハアト
しぜんと いっしょに くらしていくって、
むずかしそうでいて、ほんとは すごく ここちいいのノネ!